会長挨拶
この度、2023年11月18日(土)、19日(日)にわたり第87回日本皮膚科学会東京支部学術大会を開催させていただくことになりました。このような機会を与えていただき関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
いうまでもなく近年の皮膚科領域における治療の進歩と変革には目覚ましいものがあります。皮膚科医は新たな武器を持ったことで、これまでどう工夫しても苦労しても太刀打ちできなかった病気や症状を比較的容易に治療できる機会が増えました。皮膚科医としての腕の見せ所が多くなればやりがいも出ますし、なにより悩み苦しんでいる患者さんにとって喜ばしいことです。一方、その便利さや手軽さゆえに深く洞察することを怠ってしまい、本来持ってしかるべき診断能力や治療技術の習得、問題点を突き詰める姿勢をおろそかにしてしまう状況も危惧されます。皮肉にも腕の見せ所を失いつつあるかもしれません。繊細かつ緻密に皮膚病変や病理組織を観察し分析する力、理論的に組み立てる治療法、そして簡単にはまねのできない手技・工夫などを日々の経験の中から培っていく努力はやはり必要です。症状や疾患の本質を見抜き、的確な治療を施せる「皮膚の匠」を目指したいものです。
さて、本学会では特別講演としてGil Yosipovitch先生、そしてAndreas Wollenberg先生にご講演いただきます。また皮膚科医であり日本医師会長でもある松本吉郎先生のご講演も予定しております。その他、幅広い分野にわたりそれぞれの領域の「皮膚の匠」といえる先生方にご講演いただくとともに、日頃知りたいと思っていることが解決するシンポジウムを多数企画しています。
新型コロナウイルス感染の蔓延により長らく完全リモート開催や完全ハイブリッド開催が続きましたが、今回は原則として現地参加形式とし、指定演題のみハイブリッドとさせていただく予定です。従来の学会形式に少しずつ戻ってゆく通過点であるとともに、今後の学会の在り方を考えるよい機会になればと思います。多くの先生方にとって有意義であることはもちろん、心地よく参加できる学会にすべく教室員・事務局一同工夫してまいります。皆様のご参加を心よりお待ちしています。
第87回日本皮膚科学会東京支部学術大会
会長 佐藤 貴浩
(防衛医科大学校 皮膚科学講座 教授)